私が取り扱っているのは作家の仮面が主だが、もちろん例外もある。「仮面の引き取り」がそれだ。なんでも収集する人というのは古今東西いたもので、もちろん仮面も例外ではない。仮面コレクターが集めた仮面の情報が、日々お店に届く。コレクションというものは大概、処分に困るものだ。本人が存命の内はまだよいが、故人になったとたん、どんなきらびやかなコレクションも家族にとってはゴミの山となる。そういう仮面を「引き取ってくれませんか」という連絡がうちに届く。なぜなら、仮面を引き取ってくれる場所なんてほかにないからだ。うちのお店では基本的にどんな仮面でも引き取っている。人形や、絵画や、アクセサリーや呪物みたいなものも届く。もしかしたら万が一にも仮面かもしれないから、そういうものも喜んで引き取る。私は仮面というものがなんだかわかっていないので、ちょっとでも仮面かもしれないものはとりあえずもらっておくことにしている。そうしたものを仮面屋においておくと、不思議なことにだんだん「これも仮面なのかもしれないな…」という気になってくる。
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